財布とは

財布や札入れは、紙幣・硬貨・クレジットカードなど、金銭やそれに準ずるものを持ち運びに便利な形で保管し、取り出すことやしまい込むことが簡単にできるように開発された、言ってみれば「金銭ケース」です。

財布や札入れの発展は、貨幣経済の発展と共にあるとされ、時代の移り変わりとともにその形も様々に変化していきました。
まだ紙幣が開発されていなかった時代には、硬貨の穴に紐を通して持ち歩くか、そうでなければ牛などの皮をなめした袋に入れていました。
そのうち紙幣が開発されると、紙幣専用の財布、紙のお金を傷つけずにしまえる平たいものや、日本でいうがま口財布のような、貨幣専用の財布が登場してきます。
紙幣・貨幣共に貴重なものではありますが、一緒くたに収納すれば傷ついてしまう可能性があり、場合によっては価値を落としてしまうという事情から考案されたのでしょう。

財布・札入れの変遷

このように長い変遷をたどってきた財布や札入れですが、それは貴重品を持ち運ぶためのケースであると同時に、私たち個人個人の生活に対応した、多様性のあるものだと言うことができます。
例えば二つ折りの小さな財布は、ジーンズなどを穿く人が増えたため、お尻についている小さなポケットにもしまえるようにと開発されました。
子供用の財布には首から提げられるよう紐がついています。
材質一つとっても、ブランド品店で扱われているような買えば数十万もする牛革の財布があるかと思えば、百円ショップで買えるようなビニールやナイロンでできたものもあります。
私たちのライフスタイルの数だけ、色々な財布が存在するのです。

そして今、技術の進歩によって財布に入れる貴重品としてのお金が、大きく姿を変えようとしています。
おサイフケータイに代表されるように、金銭を持ち歩かずに買い物を済ませる技術は、現在私たちにとって身近なものになってきました。
それならば、財布はもう必要なくなるのでしょうか。おそらくそんなことはないでしょう。
たとえ「袋」という形態が失われても、あるいは実態のないものになってしまうとしても、何らかの形で財布という機能は残るはずです。
人間の生活と発展を共にしてきた財布は、これからも絶えず何らかの変化を起こしていくでしょう。
それはいつの時代も人間の傍らにあった財布の、当然の流れだと言えます。
これからの金銭そのものと財布の変化については、予測しきれないところもありますが、それがその時代の人間の生活に適した形であろうことは間違いありません。

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Last update:2016/6/9